定款作成前の資本金の払込みの有効性|株式会社と合同会社の違いに要注意!
※本記事は、掲載時点で施行されている商業登記法その他の関連法令に基づき作成しています。将来的な法改正等により内容が変更される可能性があります。
定款作成前の資本金の払込みについて
株式会社を設立する際には、定款作成や資本金の払込みなど、法定手続を順序立てて行う必要があります。
特に「定款作成」と「資本金の払込み」の前後関係については、これまで、厳格な順序が求められてきました。もっとも、近年はこの点について見直され、一定の場合、定款作成前に資本金を払い込んでしまっても設立登記が認められる取扱いがされています。
本記事では、会社法に基づく株式会社設立の基本的な流れを整理し、この運用変更の内容、さらに合同会社には同様の取扱いが及ぶか否かについて解説します。
株式会社設立のおおまかな流れ
株式会社は発起人による設立行為を経て成立し、主な手続は次のとおりです。
- 発起人が定款を作成する
- 発起人が資本金の払込み(出資の履行)をする
- 設立時役員等を選任し、調査する
- 設立登記を申請する
定款作成前に資本金を払い込んでしまった場合
従来は、定款作成前に資本金の払込みをしてしまった場合、登記申請が受理されない、もしくは補正を求められることがありました。
しかし、現在は実務上の要請により、定款作成前であっても、設立に際して出資していると認められるものであれば、商業登記法に規定する「払込みがあったことを証する書面」として取扱い、登記される運用がされています(令和4年6月13日付法務省民商第286号)。
なお、あくまで例外的な取扱いであることは留意する必要があります。
合同会社に本通達の趣旨が及ぶのか
結論として、合同会社の場合、株式会社で認められている定款作成前の払込みの取扱いは適用されません。
適用されない理由は、私見ですが、社員の氏名とその社員の出資の目的(金銭等の価額)が定款の絶対的記載事項となっていること(会社法576条)。会社法で定款作成後に出資の履行を完了しなければならない旨が明文で規定されていることが挙げられます(会社法578条)。
会社法576条は、合同会社に関する絶対的記載事項について次のように定めています。
(定款の記載又は記録事項)
第576条 持分会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
一 (略)
二 (略)
三 (略)
四 社員の氏名又は名称及び住所
五 社員が無限責任社員又は有限責任社員のいずれであるかの別
六 社員の出資の目的(有限責任社員にあっては、金銭等に限る。)及びその価額又は評価の標準
株式会社においても、発起人の氏名や設立に際して出資される財産の価額又はその最低額が絶対的記載事項ですが、合同会社は社員一人ひとりの価額を定款で定めるよう要求している点で相違があり、同様に取扱うことはできないのでしょう。
会社法578条は、合同会社に関する資本金の払込み(出資の履行)について次のように定めています。
(合同会社の設立時の出資の履行)
第578条 設立しようとする持分会社が合同会社である場合には、当該合同会社の社員になろうとする者は、定款の作成後、合同会社の設立の登記をする時までに、その出資に係る金銭の全額を払い込み、又はその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければならない。(略)
したがって、合同会社の設立においては、定款を作成した後に資本金の払込みを行い、その履行が完了したことを証する書面を揃えたうえで設立登記申請をする必要があります。
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