【受験体験記】令和7年度司法書士試験を受験してきました!

令和7年度司法書士試験の体験記
みなさんはじめまして、司法書士を目指している「わたりがに」です。
今回は、私が人生を賭けて受験した令和7年度の司法書士試験について、当時の心境や問題など体験記として記録に残しておこうと思います。
前日から試験開始まで
司法書士試験の前日。いつも通り朝9時ごろに起床し、メイン教材として使っていた「ブレークスルー」のテキストを総復習しました。その後、令和6年度の記述式問題を一通り解き、22時には就寝の準備を終えてベッドに入りました。
しかし、問題はここからでした。
「まったく眠れない!」
私は仕事を辞め、人生を懸けてこの試験に挑んでいたため、不安や緊張が押し寄せ、万が一失敗したときのことばかりが頭をよぎりました。時間だけが過ぎていき、目は冴えたまま――。
最終手段として、おにぎり(特大)とバナナ2本を一気に食べて血糖値を意図的に上げ、眠気を誘いました。その甲斐あってか、ベッドに入ってから3時間後の午前1時、ようやく眠りにつくことができました。
ところが安堵もつかの間。目が覚めたのは、なぜか午前4時30分。普段なら二度寝できるはずなのに、この日はどんなに目を閉じても眠れませんでした。結局、わずか3時間30分の睡眠で試験会場へ向かうことになったのです。
私が受験したのは大阪会場・関西大学千里山キャンパス。
澄み切った青空の下、駅からの坂道を登ってキャンパスに到着した私は、胸の鼓動を抑えながら試験教室へと向かいました。
そして教室に入って、思わずこう呟いてしまったのです。
「……狭っ。」
そう、机が想像以上に小さい!
しかも右にも左にも他の受験生がびっしり。肩が触れそうな距離感。
「この状態で記述式とか無理じゃない?」と軽く絶望しました。
午後の試験で配られるのはA3サイズの問題用紙とA3の解答用紙。
机の上にそれを広げると……はい、完全に越境します。
「これ、妨害排除請求権を行使されてもおかしくないやつやん……」
そう思いながらも、私の心は折れませんでした。
むしろ静かに燃えていました。
なぜなら、仕上げてきた自信があるから。
多少の物理的ストレスや不公平感なんて、実力でねじ伏せられる──そう言い切れる準備をしてきた自負がありました。
実際、私はこう思っていました。
「どんな環境でも、私はやれる。」
それは慢心ではなく、積み重ねた努力の結果に対する確かな信頼でした。
午前の部 試験開始
ついにその時が来ました。司法書士試験、本番の幕開けです。
まずは憲法。
手応えあり。民法もスラスラ進み、刑法、会社法とテンポよく解いていきます。自然と集中モードに入り、問題用紙との一騎打ちに没頭していました。
驚いたのは、これまで取り組んできたLECの答練や模試からの出題が見事に的中していたことです。
「LECに内通者おるんちゃん?」
思わず心の中でツッコミを入れてしまいました。そんな冗談すら浮かぶほど、これまでの勉強が報われる感覚がありました。
48分で一通り解答を終えたとき、体感的に「これは30いったな」という手応えがありました。
簡単だった分、基準点が上がるのは間違いない。だからこそ、「ミスは命取り」。一つひとつ、文章の読解・解釈、選択肢の検討を繰り返し、慎重にチェックしていきました。
「午前はただのスタートライン。午後、そして記述。ここからが勝負」
そう心の中でつぶやいて、午前の部を無事終えました。
午後の部 試験開始
最初に来たるマイナー科目。
民事訴訟系、あんまり得意とは言えません。問題を読み進めながら、どこか手応えの薄さを感じていました。
「……なんか、2ばっか選んでる気がする」
そんな直感に、じわじわと不安が押し寄せてきます。不動産登記法では、対話形式の長文が多くて、「読み取りにくっ!」と心の中で叫びながら処理していきました。
午後に入ってからというもの、午前中の集中がウソみたいに頭がぼんやり。睡眠不足のツケが、ここにきてボディーブローのように効いてきました。
時間の感覚も狂ってきて、模試では40分台で終わっていたはずの択一が、気づけば50分を超えていました。
そんな焦りの中、ふらつく頭を必死に立て直して、記述式に突入していきました。
私は毎回、商業登記法から記述をスタートするタイプです。問題形式が安定していて、気持ちよく流れに乗るための導入として位置づけていました。
今回も、いつも通りまずは商業登記法に手をつけました。ところが――
「ん? なんかややこしない……?」
冒頭から違和感。登記事項が複雑に絡み合っているような印象で、スムーズに図解できない。去年は「簡単すぎた」との声も多かった分、今年は試験委員が本気を出してきたな、と妙に納得してしまいました。
特に迷ったのが、取締役の選任と解任の登記不可事由。その部分、何度も読み返して、メモ欄に「選任 → ○? ×?」「解任 → ○? ×?」と書いては消し、気づけば5回以上判断を変えていた気がします。
その瞬間は、どちらも登記できると思えたんです。だけど、あのいつもの一文――
「登記不可事由がない場合は『なし』と記載せよ」
――が、今回は見当たりませんでした。
迷いに迷った末、やむを得ず選任のみを登記不可事由として記載することにしました。背中にじんわりと汗がにじむような、なんとも言えない緊張感。
終わったあとも、「ほんまにあれでよかったんか…?」というモヤモヤを抱えたまま、商業登記法のページをそっと閉じました。
つづいては不動産登記法。
解答用紙を手に取ると、やけにシンプルなレイアウトが目につきました。出題形式を見ながら、今年は易しい問題なのかもしれないと思いつつ、淡々と解き始めます。
その中で、仮登記からの相続が絡む場面に遭遇した瞬間、すぐにピンときました。
「あ、あの論点ね」
仮登記が残ったまま相続が発生するケース。択一でもよく出ていた論点で、相続登記省略パターンを迷わず選びました。
ところが、2問目に入ると空気が一変します。
すでに商業登記法で想定よりも大きく時間を使っており、時計の針は進みすぎていました。残り時間が少ない中、気持ちばかりが先走ります。
急ぎ足で解答していく中で、賃借権移転の登記を見落としてしまいました。
それに気づいたのは、すべてを書き終えたあと。枠を一つ飛ばして記載してしまったことで、いわゆる「枠ズレ」が発生していたのです。
内容としては大きく外してはいないものの、順番がずれてしまった以上、部分点がどれだけもらえるかはわかりません。
自己採点
区分 | 得点 | コメント |
---|---|---|
午前択一 | 34/35問 | 十分に手応えあり、申し分なし |
午後択一 | 32/35問 | 一番不安だったが、予想以上の結果 |
記述式 | 70~80点?/140 | 枠ズレあり。部分点に期待 |
択一については、午前・午後ともに総じて高得点となり、自信を持てる結果でした。特に午前は過去問や答練がしっかり活かされ、落ち着いて解答できたことが大きかったと感じています。
午後は一番不安が残っていた部分でしたが、予想以上に点数が取れており、少し肩の荷が下りました。
一方で、記述式については今でも悔しさが残っています。特に商業登記法に時間を取られ、不動産登記法で「枠ズレ」を起こしてしまったのが痛恨のミスでした。採点基準次第では70点台後半に届く可能性もあると思いますが、基準点ギリギリのラインになるのではないかと予想しています。
また、解答速報を確認した際、今年も問題に疑義があるという報告が出ていたようですね。令和5年度の記述でも同様の事態があり、配点変更(理由は公開されていない)などの措置が取られましたが、今回も同じことが繰り返されているとなると、正直なところ残念に思います。
司法書士試験は、人生を賭けて挑む受験生が多い試験です。だからこそ、出題の正確性・公平性には万全を期していただきたいと強く感じています。そうした姿勢が、今後の受験生との関係を築く上でも必要ではないでしょうか。
とはいえ、これも一つの試験です。商業登記法の記述に関しては、非常に良く練られた構成であり、学習者として多くを学ばせてもらいました。
仮に結果が伴わなかったとしても、それは私自身の力不足にほかなりません。悔いのない努力をしてきたという点では、胸を張ってこの1年を振り返ることができます。
試験を終えてのまとめ
こうして、私の令和7年度司法書士試験は幕を閉じました。
全体として振り返ると、午前の部は非常に手応えがあり、過去問や模試で積み上げた知識がそのまま活かせた実感があります。一方で、午後の部は睡眠不足による集中力の低下や、時間配分の誤算、記述式での判断ミスなど、課題も多く残る内容となりました。
特に記述式については、時間との戦いと判断力のブレが結果にどう影響するかが気になるところです。ただ、模試や答練を通じて積み重ねてきたことは決して無駄ではなく、実戦でも活かせた場面は多々ありました。
試験を受け終えた今、改めて感じたのは、睡眠管理の重要性と本番での冷静さの大切さです。知識の多寡だけでなく、限られた時間内での判断力と集中力、そして本番独特の緊張感にどう向き合うか――そこまで含めての「実力」なのだと痛感しました。
合否はまだ分かりませんが、この1年間の努力と向き合い方には後悔はありません。最後まで走り抜けた自分を、まずはしっかり労いたいと思います。
今後も、司法書士としての道を信じて進んでいくつもりです。この記事が、これから受験される方の参考や励ましになれば幸いです。