司法書士試験
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【令和7年度司法書士試験】仮登記から本登記に相続登記は必要か?必要説と不要説を徹底整理

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はじめに(問題の所在)

令和7年度司法書士試験の記述式問題第2欄の解答において、仮登記に基づく本登記の前提として、登記義務者について相続登記を要するか否かが問題となっている。
この点については、相続登記を必要とする「相続登記必要説」と、相続登記を省略できるとする「相続登記不要説」とが対立しており、各予備校の見解も分かれている。

ここでは、両説の主張と根拠を整理し、受験生としての視点から、どのように考えるべきかを検討する。

それぞれの主張と根拠

相続登記必要説

■ 主張
仮登記に基づく本登記を申請するにあたり、登記義務者について相続登記を行う必要がある。

■ 根拠
・法務局の準公式資料とされる『登記研究』において、相続登記を経た上で本登記を行うべきものとされている(登記研究356号)。
・権利変動の過程を登記簿上に忠実に反映すべきである。
相続発生後に農地法の許可を申請する場合、申請人を正確に特定するためには、相続登記を先行して行う必要がある。
・答案作成にあたっての注意事項9には、「申請できる登記はすべて申請するもの」と記載されており、相続登記も併せて行うべきである。
・例年、一般承継人による申請では、「なお、何某の相続人らの一部の者を申請人とすることも、全員を申請人とすることもできる登記申請については、何某の相続人ら全員を申請人とすること。」のように、一般承継人による申請であることを前提とする指示が入っていたが、本年度問題ではその前提が一切示されていなかった。

相続登記不要説

■ 主張
仮登記に基づく本登記を申請するにあたり、登記義務者について相続登記を行う必要はない。

■ 根拠
・先例において、当該場合に相続登記を省略することができるとされている(昭35.5.10民三328号)。
・択一式の過去問においても本先例が複数回出題されており、出題者の意図を踏まえると、相続登記を省略することが想定されていると解される。
・司法書士には依頼者の利益を最大限に確保する責務があり、不必要な相続登記を行うことは、費用および手続上の負担を不当に増加させることとなる。
・答案作成にあたっての注意事項5(3)には、「申請件数および登録免許税の額が最も少なくなるように登記を申請する」と定められており、相続登記を省略することがこれに合致する。

受験生である私の考え

■ 私の結論

本件においては、仮登記に基づく本登記の前提として、登記義務者について相続登記を行う必要はないと考えられる。

■ 理由

先例は、法務省民事局から発出される通達や回答であり、全国の登記官を拘束する性質を有する。一方、『登記研究』は民間が発行する準公式の実務誌にすぎず、登記官を法的に拘束するものではない。そのため、登記研究に基づく処理は、最終的には登記官の職責と判断に委ねられる。

司法書士試験のような全国一律の国家試験においては、法務局ごとの運用差を基準とするのではなく、全国共通の登記準則たる先例に基づき出題されていると考えるのが合理的である。

さいごに

このように、仮登記の本登記における相続登記の要否は、先例・実務・試験指示のいずれからも多面的な検討が可能です。
皆様の見解はいかがでしょうか。ご意見をいただければ幸いです。

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司法書士を目指している大阪生まれののかに
司法書士を目指す中で得た知識や経験を記録しています。実務に直結する内容も意識して発信していきます。
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